僕の兄はどういうわけだか小さなころ(僕がまだ小学校の低学年だったころ)、お祭りで神輿を担いでいる最中にクマバチに刺されたことがあります。近所にあった日立製作所の診療所で、お尻に注射を数本打たれていたのを覚えています。かく言う僕も同じころ、タンスの中からパンツを出して履いたら、感じたことのない痛みを覚えたことがありました。まさかクマバチが入っているとは、普通は思わないですよね。
そんなわけで、僕の中ではクマバチはかなり危険なハチと認識されていました。そのうえ『昆虫物語みなしごハッチ』でも危険なハチとして登場していましたから、クマバチに対する恐怖はいよいよ高まっていました。リムスキー=コルサコフの代表曲『クマバチの飛行』なんて、映画『ジョーズ』のあの有名なテーマ曲より恐ろしげに聴こえたものでした。
そんなクマバチが本当はとっても温厚なハチだと知ったのは、最近になってからのことです。今朝も散歩していたら、道端でサルビアにしがみつくクマバチをみかけました。黒くずんぐりとして愛らしい体つきで、一心不乱に蜜を集めています。カメラを向けてもほとんど嫌がったりしないので、見かけるたびに撮影させてもらっています。
ところで、リムスキー=コルサコフの『クマバチの飛行』の原題は “Полёт шмеля(Flight of the bumblebee)” であり、おそらく『マルハナバチの飛行』と訳すのが正しいのです。ですから、『クマバチの飛行』が恐ろしい曲であっても、実際のクマバチが恐ろしいことを示すということには当たらないのだ、と最近思うようにしています。はは、ヘリクツですね。
ちなみに、クマバチは “шмель-плотник(Carpenter bee)” と言います。「大工さん蜂」というぐらいの意味でしょうけれども、これは朽木に穴を掘って巣穴とする習性から付けられた名前なのでしょうね。
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