合唱王国とまで言われる福島に住んでいながら、これまで器楽にばかり気を取られて、合唱のコンクールを観に行ったことがありませんでした。福島から割合に近い宮城県の名取市で、NHK 全国学校音楽コンクール(N コン)の東北ブロックコンクールが開催されましたので、行ってきました。
過去 20 年間の N コン全国大会で、合計 12 回も優勝している東北勢の演奏は、やはりどこも素晴らしかったです。とくに自由曲は、やや前衛的な難曲にも果敢に挑戦しており、レベルの高さを見せつけられずにはいられないステージの連続でした。そのためか、非常にポップで平易な課題曲を逆にもてあましているような団体が多かったようです。後で知りましたが、課題曲の後半の楽譜はスキャット部として設定されていたようです。そこは自由に演奏してよく、そのパフォーマンスも採点に含むということだったようです。硬派でクラシック一筋の合唱部には、逆につらい話だったのではないでしょうか。
この課題曲を上手に乗りこなしていたと感じたのは、第三女子でした。やや走り気味でかまびすしい演奏でしたが、この曲はむしろそのぐらいの方が聴いていて心地よいものでした。対照的に橘の演奏はきっちりと型にはまった印象できびきびとしていましたが、今回同校が金賞を逃したのは、この曲にそういうアプローチをしてはいけない、という審査が下ったということなのでしょうか。僕個人は橘高校の演奏を聴いたときに初めてこの曲の歌詞を一字一句聞き取ることができて、「あ、そんな歌だったんだ(笑)」と感動したものだったのですが 😉 。
自由曲はどこも本当に素晴らしい演奏でしたが、代表に選ばれた二校はどちらも無伴奏で六声でしたので、伴奏つきの三声や四声は評価がどうしても低くなるということなのでしょうか。演奏会として聴いている分には、橘と喜多方が選曲・演奏ともに好みでした。とくに喜多方の男性パートはもう高校生とは思えない声で、正直びっくりしました。
ちなみに、課題曲の歌詞について。若い高校生の自分はひとり立ちするのがまだへたくそかもしれないけれど、自分の思うままに生きさせてほしい、というような内容で流れてきた曲の途中にこんな一節が。
おとうさん さよなら もういくね
おかあさん ありがとう 忘れない
全国の高校の合唱部のお父さんお母さんは泣いてしまいますね 😉 。
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