100 マス計算というものをご存知ですか。10 × 10 のマス目の上と左に、各行・列ごとに数字が書いてあって、交点のマスにその足し算の結果を書き込む、というものです。考案したのは岸本裕史さんという方で、のちに陰山英男さんがこの手法を活用したため一躍有名になりました。
ノートがもったいないとか、そういうつもりでやるのではありません。これの面白い点は、反復練習を積むという本来の目的を伏せて、タイム・アタックを前面に打ち出している点です。たいていの子供はやればやるほどタイムが上がっていくので、楽しく続けてくれます。
足し算、引き算、掛け算ともに、スタートの合図とともに一斉に解き始め、2~3 分以内で 100 問解くことを目標にします。最初はだいたい 3~10 分ぐらいで、訓練を積めばほとんどの子が 4 分以内で解けるようになります。3 分台程度のスピードなら、十分に勉強をやりきることができます。
学力に遺伝は関係ない、と言い切る人が大勢います。障害さえなければ、誰しも鍛えただけの水準に達するし、達しないのは本人の努力が足りないのだと。しかし、はじめから 2 分を切る子がいる一方で、どんなに手取り足取り鍛えても、5 分を切れない子もいるのは事実です。
正常といわれる人間と、知的障害があるといわれる人間に、明確な境目はないのだと、長年養護学校の教諭を務めている私の伯母は教えてくれました。ボーダーライン周辺の子が障害者となるか健常者となるかは親の判断なのだと。結局、学力は大部分が遺伝に左右されるのだと。
遺伝的に同じはずの一卵性双生児でも、同じ高校や大学に進学できないケースがある、ということも確かにわかっています。結局、どんなに潜在能力があっても、やはり努力なくしてはその発揮はできない、ということなのでしょう。僕らの仕事はそれを引き出す事のようです。
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