割り算の教えかた

またご家庭から巨峰をいただきました、ありがとうございます。おいしい!
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中学・高校受験生にお勉強を教えるときに、頭痛の種になるのが割り算です。小学校 3 年生の算数で登場して以来、学年が増すごとに徐々に脱落者が増えていきます。一度脱落してしまった子は、きちんと指導してあげないといつまでたってもつまずきっぱなしで、割り算のできない中学三年生というのもざらです。

なぜ子どもたちは割り算につまずくのでしょうか。これは割り算に 2 種類の異なる性質があることを、子供たちがなかなか理解しようとしないからです。一種類の計算になぜ二通りの解釈が必要なのか、理解できないのです。割り算の克服には、教える側の根気と話術(笑)が必要です。

たとえば「10÷2」には「10 を 2 つに分けると、5 ずつになる」という考え方と、「10 には 2 が 5 個ある」という考え方があります。多くの子どもたちは前者の考え方に縛られて、後者の発想ができません。まずは何度も問題を口頭で読み換えてもらい、後者を理解してもらわねばなりません。

この発想がつかめれば、「120÷0.8」のような計算の意味がつかめることになります(むろん、小数の意味が理解できていることが必要です)。「120 には 0.8 が何個入っているか」求めるわけですよね。答えは「150 個」になります。

しかし、このままでは「定価 7,000 円の商品が 5,600 円で売られていた。定価の何割か」という問題につまずくことになります。この計算は「5600÷7000=0.8 で、8 割」になりますが、ここで多くの小学生が脱落していくようです。

ここを突破するためには、先ほどの「120÷0.8」の意味を、さらにもう一歩踏み込んでとらえる必要があります。答えの150 個と 0.8 を掛け算して、答えが 120 に戻るという「確かめ算」をすることを通して、「0.8 が 150 個」という答えを「0.8 の 150 倍」ととらえなおさせます。何度も口頭で質問しながら、読み換えができるようにします。

この学習を通して、「10÷2」の意味を「10 は 2 の何倍か」と読めるようになればしめたもの。その状態なら、「5600 は 7000 の何倍か」と読むこともできます。小数の理解さえできていれば、割り算のパートはここまでで終了です。

実際に中学生を指導するときには、「10÷2」を「10 は 2 の何倍か」と読み換えできるかどうかを確認するところから、この記事を逆へ逆へと確認してゆき、理解できたところから指導します。これで半分程度の子は 1~3 ヵ月以内に割り算をマスターできます。

高校受験生は、そこからようやく中学 1 年生の数学や理科の勉強が始まるわけです。成績って本当に上がらないものなのですよ。

※ 追記 … 意味はわかっていないが、計算はできる、という子も多いです。思わぬ計算ミスをしたり、何度解法を教えても暗記できない場合にそういう可能性があります。きちんと教えてあげると、理解に苦しんで一時的に計算が遅くなったり、ミスが増えたりもしますが、最終的な結果は良好のようです。

※ さらに追記 … 割り算自体が非常に遅い子も多いです。100 ます計算の割り算編などをやらせてみてください。目標タイムは 5 分程度ですが、30 分を超える子も多いのです。少なくとも 10 分以内に 100 問、95% 以上正答できないと、割り算の勉強に入ること自体難しくなります。


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