はじめに僕が家庭教師につくときには、週 1 回の契約である場合がほとんどです。しかし多くの場合、次第に週二回、週三回と増えていくことになります。単純に指導時間が足りないから増える、という面があるのはもちろんですが、「先生が来ると落ち着いて勉強する」とか「先生の言うこと以外きかない」「子供がどうしても増やしたいという」という場合も多いのです。
家庭教師をしていて、最近は話し相手の足りない子が多いなと思います。僕にしか相談できない話を、たくさん持っている子供がとても多いのです。同級生や先生とは利害が対立してしまって相談できない、という話は意外とたくさんあります。しかし自分の親は仕事で忙しい。他校や年長の人に相談しようと思っても、近所にそんな知り合いはいないし、いてもみな部活や受験勉強などで忙しい。卒業すれば都内や仙台の大学へ行ってしまいます。
青年が大学生として都市に集中するのはもはや避けられない現象だと思います。両親や社会人の仕事が忙しいのもすぐには回避しがたい問題です。専業主婦を増やすしかあるまいという反動的な発想も、成長とともに反抗期を迎える子供の教育にとって、はたしてどの程度効果があるのか疑問です。
2007 年に UNICEF が発表した “An overview of child well-being in rich countries” によれば、日本で孤独感をもつ子どもの割合は、2 位のアイスランドの 10.3% を大幅にこえる 29.8% でした(45 ページ参照)。相手にしてもらいたくて凶悪犯罪を犯してしまう青年がいることと、子供たちの孤独感が無関係とは思えません。
高度に分業が発達して出来上がっているのが現代社会です。介護が必要なお年寄りに専門の介護職があるように、子供のケアを担当する専門の職業を社会が作り出さなければならないのではないでしょうか。ピア・カウンセラーという取り組みがたとえばそうだろうし、学習塾や家庭教師なども広い目で見ればそういったケアの一環だと思います。子供やご家庭に好評いただいている僕だって、これが日々の糧を得る職業じゃなければやれないですよ。
もっと子供と大人は触れ合わなければならないと思います。反抗的な子供でも「大人ってスゴイ」と目を輝かす瞬間は、意外と多いものです。
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