僕が初めて牛丼を食べたのは、小学生のころでした。肉が嫌いな母親はそれまで僕に牛丼を食べさせたことがなく、初めて食べたそれのおいしさには大変驚かされました。それ以降、牛丼は僕のお気に入りのメニューの一つでした。
2003 年暮れにアメリカで BSE に感染した牛が見つかり、牛丼チェーンから牛丼が姿を消しました。代わりに鳥丼が供されはじめましたが、鳥インフルエンザの流行に見舞われすぐにとん挫してしまいました。あの頃の牛丼チェーンは本当にお気の毒でした。
牛も鳥もだめとなれば、豚しかないということだったのでしょう。各牛丼チェーンは牛丼に代わるメイン・メニューとして、豚丼を本格的に提供するようになりました。「しょせん代役」と受け止めた人も多かったようですが、牛と比べて香り高く、大鍋で煮続けても適度な歯ごたえを失わない豚肉に、初めて牛丼を食べたときを上回る驚きを覚えたのでした。
僕と同じような感想を持った人が多かったのか、それとも単に牛丼よりも安めに提供できるからか、牛肉の輸入が再開されたあとも、各社ともに豚丼をメニューに残してくれました。おかげで僕はあれ以来、ずっと豚丼を食べ続けることができました。
この日も豚丼が食べたくなって、彼女を誘ってすき家に行ってきました。するとどうでしょうか、メニューから豚丼が消えているではありませんか。よく見るとまぐろ丼なども消えてしまっていました。やはりあれらは牛丼の代役、牛が帰ってくれば退場する運命だったのでしょうか。
仕方がなく牛丼を食べたのですが、独特の牛くささとか柔らかすぎる肉の具合が気に入りません。やはり豚丼の方が好みです。これでキャンペーン価格(並盛 299 円)でなかったら、二度と来るものかと思うところだったでしょうね。
後ですき家の web サイトを見てみたら、今は「牛丼祭り」というキャンペーンの実施期間中で、豚丼やマグロ丼の提供をお休みする、ということでした。喜ぶほうが多数派なのでしょうけれども、個人的にはちっとも嬉しくないキャンペーンだったのでした。
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