福島に来て不満に思ったことの一つは、夕日が見れないことです。四方を山に囲まれているので、丸くて真っ赤な太陽が地平線の彼方に沈む光景を眺めることができません。関東平野で生まれ育った自分にとって、四方を山に囲まれた土地で暮らす感覚は、はじめは圧迫感が強くてお世辞にも快適とは言えませんでした。
そうはいってもしばらく暮らすうちにだんだんと慣れてきて、当初は狭苦しい感じがした盆地の風景にも、なんだか山に守られているような安心感を覚えるようになりましたが、たまに実家に帰って夕陽を眺めるたびに、やっぱりこの景色が見れないのはさびしいなあと、思わずにはいられないのでした。
しかし本当のことを言うと、僕がいままでの人生で観た最高の夕陽は、大学 1 年生の夏に福島県内で観た夕日なんです。猪苗代湖畔のキャンプ場「源ちゃん(だったかな?)」からは、猪苗代湖を挟んでちょうど正反対側に夕日が沈む格好になっていて、湖面が太陽の光を反射する光景や、その後真っ赤な太陽が湖面に切れ込んだ山の端に沈む様子など、本当に素晴らしかった。
残念ながらそのときの写真は全く残っていません。当時(1999 年)はまだカメラ付き携帯もありませんでした(写メールが始まったのは 2001 年)。機会があればぜひまた観に行きたいと思うのですが、あの頃は福島に来たばかりの頃で、一番夕陽を恋しいと思っていた時期でしたから、そのおかげで実態以上に夕日が素晴らしく思えただけなのかもしれません。
思い出は思い出のまましまっておいたほうが良いのかな?
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