映画『おとうと』

福島フォーラムにて。
福島フォーラムにて。

ポスターもウェブサイトも予告編も見ず、何の予備知識もないまま席に座って、この映画を観た。蒼井優さん演じる主人公が僕と同世代だから、ということもあるのだろうが、冒頭のちょっとした遊びを除いて、映画の編集にはまったく過不足が無くて、一瞬たりとも展開に疑問を持ったことが無かった。最近はこういった映画体験ができることがなかなかないので、さすが往年の名監督とそのスタッフ陣だと、まずはそんなところで感動していた。

映画の感動の中心は、変に散らばったりすることなく、劇中のたった一言に凝縮されている。その一言に向けて映画のすべてが用意されていて、その一言から映画は一気に清算されていく。こういう脚本の妙も、最近はあまり触れることができない。無駄のない撮影と、わかりやすい美術がまた素晴らしくて、連続ドラマで 4~5 回分になりそうな内容が、2 時間におさまる。全く隙のない展開のおかげで飽きることなく、最後は涙をぼろぼろと流して映画館を後にした。もうすぐ公開は終了ですが、ぜひ多くの方に観ていただきたい作品です。


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